木立の道を寄り添って歩く高齢夫婦の後ろ姿

ダブルケアで育児と介護が同時に来たら|優先順位のつけ方と使える制度

公開: 2026年7月1日 読了目安 約5分

先に、要点だけ

  • ダブルケアを担う人は全国で約25万人(うち女性が約17万人・男性が約8万人)と推計され、平均年齢は約40歳。決してレアケースではない(内閣府・2016年公表)
  • 優先順位は「①自分の健康 ②子どものケア ③親のケア体制の構築」。親の介護を自分の手で全部やろうとしないのが崩れないコツ
  • 相談先は2つに分かれる。介護は親が住む地域の地域包括支援センター、子育ては自分が住む自治体の子育て世代包括支援の窓口
  • どちらの制度も「自分でやる時間」を外に移すために使う。抱え込みを前提にした制度ではない
この記事の目次
  1. ダブルケアはめずらしくない:まず知っておきたい前提
  2. 優先順位のつけ方:自分の健康を一番上に置く
  3. 使える制度は「介護」と「子育て」の両輪で考える
  4. 仕事を辞める前に:離職は最後の選択肢にする
  5. 疲れを感じたら、それは制度を使うサイン

上の子の保育園の送りがあるのに、実家の親から「転んで動けない」と電話が入る——。子育てと親の介護が同じ時期に重なる「ダブルケア」は、どちらも中途半端になっている気がして、自分を責めやすい状況です。

先に結論から書きます。**ダブルケアで最初に決めるのは、やることの順番ではなく「やらないこと・人に渡すこと」です。**優先順位は「①自分の健康 ②子どものケア ③親のケア体制の構築」。親の介護を自分の手で全部やろうとしないことが、共倒れを防ぐ一番の分かれ目です。

ダブルケアはめずらしくない:まず知っておきたい前提

「うちだけがこんなに大変なのでは」と感じている人へ。内閣府の調査(2016年公表)では、育児と介護を同時に担う人は全国で約25万人と推計されています。うち女性が約17万人、男性が約8万人で、平均年齢は約40歳。年代は30〜40代が全体の約8割を占めます。

💡 「がんばりが足りない」のではない

ダブルケアが重いのは、あなたの能力の問題ではありません。子育てと介護は本来それぞれ複数人で担う想定の仕事で、それがひとりに集まっている状態です。まずこの前提に立つことから始めてください。

同じ調査では、周囲からの手助けについて、配偶者からほぼ毎日の手助けを受けている人の割合が男女で差があることも示されています。「頼めていない」だけで、頼れる先はあるという視点が大切です。

優先順位のつけ方:自分の健康を一番上に置く

ダブルケアで倒れてはいけないのは、まず自分自身です。担い手が体調を崩すと、子どもと親の両方のケアが同時に止まってしまうためです。

1
自分の健康と睡眠を守るここが崩れると全部が止まる。休む時間を最初に予定へ入れる。
2
子どものケアを次に置く成長の時期は待ってくれない。一時保育など預け先も併用する。
3
親のケアは「体制づくり」に徹する自分が全部やるのではなく、サービスで回る仕組みを組む。

ポイントは、3番目の親のケアを「自分が手を動かすこと」ではなく「外部サービスで回る仕組みをつくること」と定義し直すことです。訪問介護やデイサービス、ショートステイを組み合わせれば、あなたが毎日実家に通わなくても親の生活は支えられます。

⚠️ 「両方を完璧に」が一番の落とし穴

ダブルケアで最も多い失敗は、育児も介護も自分の手で完璧にやろうとして担い手が先に潰れることです。制度は「家族が抱え込む」前提ではなく「担い手の時間を外に移す」ためにあります。手を抜くのではなく、渡すと考えてください。

使える制度は「介護」と「子育て」の両輪で考える

ダブルケアがややこしいのは、相談窓口が介護と子育てで完全に分かれている点です。どちらか片方だけに相談しても、全体の負担は軽くなりません。両輪で組むのが基本です。

介護の側子育ての側
まず相談する窓口親が住む市区町村の地域包括支援センター自分が住む自治体の子育て世代包括支援の窓口(母子保健・子育て支援課など)
「その日だけ」預けるショートステイ、デイサービス一時保育、ファミリー・サポート・センター
仕事との両立に使う介護休業・介護休暇、短時間勤務育児休業、子の看護休暇、時短勤務

介護保険サービスを使うには要介護認定が入口になります。まだ認定を受けていない場合は、要介護認定の申請から始まりますが、その前の「何から」の段階でも地域包括支援センターが相談に乗ってくれます。地域包括支援センターは高齢者の総合相談・介護予防・地域の支援体制づくりを担う市町村の中核機関で、全国に設置されています(厚生労働省)。

仕事を辞める前に:離職は最後の選択肢にする

ダブルケアで追い詰められると「仕事を辞めれば楽になる」と考えがちですが、離職は収入と社会とのつながりを同時に失う選択です。介護は終わりが読めないため、辞めたあとに生活が立ち行かなくなるリスクがあります。

辞める前に、介護休業(対象家族1人につき通算93日まで分割取得可)や短時間勤務など、働き続けながら乗り切る制度がないか勤務先に確認してください。詳しくは介護休業給付金の記事も参考になります。きょうだいがいる場合は、介護の分担を早い段階で話し合っておくと、あなた一人に集中するのを防げます。

疲れを感じたら、それは制度を使うサイン

ダブルケアは、真面目な人ほど「もっとがんばれるはず」と限界を後ろにずらしてしまいます。イライラが増えた、眠れない、子どもや親にきつく当たってしまう——こうしたサインが出たら、あなたの努力ではなくサービスの量が足りていない合図です。介護に疲れて限界を感じたときの対処も合わせて確認してみてください。

制度の運用や窓口の名称は自治体により異なります(2026年時点)。まずは動かしやすい方の窓口に、ダブルケアであることを最初に伝えるところから始めてみてください。

よくある質問

ダブルケアで仕事を辞めるべきか迷っています。

結論を急がず、まず介護と子育ての両方の外部サービスを組んでから判断してください。離職すると収入だけでなく社会とのつながりも失われ、介護が終わったあとの再就職も簡単ではありません。介護休業や短時間勤務など、辞めずに乗り切る制度が先にあります。勤務先の人事や地域包括支援センターに、辞める前に一度相談してみてください。

ダブルケアの相談はどこにすればいいですか?

窓口は介護と子育てで分かれています。親の介護は親が住む市区町村の地域包括支援センター、子育ては自分が住む自治体の子育て世代包括支援センター(母子保健・子育て支援の窓口)です。どちらから始めても構いませんが、負担が重い方から先に外部サービスを入れると、もう一方に手が回りやすくなります。

ダブルケアを担う人はどのくらいいますか?

内閣府の調査(2016年公表)では、育児と介護を同時に担う人は全国で約25万人と推計されています。年代は30〜40代が全体の約8割を占め、平均年齢は約40歳です。ひとりで抱え込みがちですが、社会的にはめずらしくない状況です。

親の介護と子どもの用事が重なったとき、どちらを優先すべきですか?

原則は、命や安全に関わる方を優先し、それ以外は外部サービスや他の家族に振ることを考えます。介護はショートステイやデイサービス、子育ては一時保育やファミリー・サポートなど、その日だけ預けられる仕組みがあります。すべてを自分の同時対応で解決しようとしないことが、長く続けるコツです。

参考・出典

本記事は公的機関等の公開情報をもとに作成した一般的な情報提供であり、医学的な診断・助言に代わるものではありません。 制度の内容はお住まいの自治体や時期によって異なる場合があります。最新の情報は各公式窓口でご確認ください。