🌱 はじめての介護 2026年7月12日

台風で離れて暮らす高齢の親の避難をどう準備する|名簿登録と当日の声かけ

公開: 2026年7月12日 読了目安 約5分

先に、要点だけ

  • 自力避難が難しい高齢者は、市区町村の「避難行動要支援者名簿」に登録できる。根拠は災害対策基本法(平成25年改正で名簿作成が市町村の義務化)
  • 一人ひとりの「個別避難計画」(誰が・どこへ・どう避難させるか)は、市町村の努力義務として作成が進む。窓口で親の分の作成を相談できる
  • 高齢の親は警戒レベル4(避難指示)を待たず、警戒レベル3「高齢者等避難」で動くのが原則(内閣府)
  • 事前に決めるのは3つ。避難先、持ち出す薬とお薬手帳、連絡手段。台風が来てから決めては間に合わない
この記事の目次
  1. まず登録:避難行動要支援者名簿と個別避難計画
  2. 当日は「警戒レベル3」で動く:親がとる行動の早見表
  3. 事前に決めておく3つ:避難先・薬・連絡手段

台風が近づくたびに、離れて暮らす実家の親のことが気になって天気予報から目が離せない——。特に一人暮らしや高齢の夫婦だけの世帯では、いざというとき自力で避難できるのか、遠くにいる家族は気が気ではありません。

先に大事なことを書きます。高齢の親の避難は、台風が来てから考えるのでは間に合いません。シーズン前に「市区町村の名簿に登録する」「避難先・薬・連絡手段を決めておく」の2つを済ませ、当日は警戒レベル3「高齢者等避難」で動く——この段取りが、離れていても親を守る現実的な備えです。

まず登録:避難行動要支援者名簿と個別避難計画

自力での避難が難しい高齢者のために、公的な仕組みがあります。それが避難行動要支援者名簿です。災害時に自ら避難することが困難な高齢者や障害のある人などについて、市区町村が名簿を作ることが、平成25年の災害対策基本法改正で義務づけられました(内閣府)。

💡 名簿に載ると何が変わる?

名簿の情報は、地域の民生委員や自治会・消防などの避難支援者にあらかじめ共有されます(同意の扱いは自治体による)。災害時に「あの家には避難に手助けが必要な人がいる」と地域に伝わり、声かけや避難の手助けにつながりやすくなります。

さらに、名簿に載った一人ひとりについて「誰が・どこへ・どの経路で避難させるか」を具体的に決めておくのが個別避難計画です。令和3年の災害対策基本法改正で、作成が市町村の努力義務とされました。令和元年の台風などで多くの高齢者が被害に遭ったことを踏まえて導入された仕組みです。親の分の作成を、市区町村の窓口やケアマネジャーに相談できます。

登録や計画づくりの要件・進め方は自治体により差があります。まずは親が住む市区町村の防災担当・福祉担当に、名簿登録の方法を問い合わせるところから始めてください。遠距離介護の始め方と合わせて、地域の相談先を押さえておくと安心です。

当日は「警戒レベル3」で動く:親がとる行動の早見表

避難のタイミングを間違えないために、警戒レベルと親がとる行動を対応させて覚えておきます。高齢の親は、全員避難の警戒レベル4を待たず、警戒レベル3で避難を始めるのが原則です(内閣府)。

警戒レベル発表される情報高齢の親がとる行動
レベル2大雨・洪水注意報などハザードマップと避難先・持ち出し袋を最終確認
レベル3高齢者等避難避難に時間がかかる高齢者は避難を開始する
レベル4避難指示危険な場所から全員避難(レベル3で動けなかった人も直ちに)
レベル5緊急安全確保すでに危険。命を守る最善の行動を(無理な移動はしない)

離れて暮らす家族の役割は、テレビやスマホのアプリで親の地域の警戒レベルを自分でも監視し、レベル3が出た時点で電話をかけて避難を促すことです。親任せにすると、判断が遅れがちになります。

⚠️ 「これまで大丈夫だった」が命取りになる

高齢者ほど過去の経験から「うちは今回も大丈夫」と避難を渋りがちです。危険を軽く見てしまう心理は誰にでも起こります。急かすより「近所の人も行くみたい」「私が心配だから行ってほしい」と、本人が動きやすい言葉を添えるのが、遠くから背中を押すコツです。

事前に決めておく3つ:避難先・薬・連絡手段

台風の接近を知ってから慌てないために、家族で先に決めておくことは3つに絞れます。

1
避難先を決める指定避難所か、安全な親戚宅か。ハザードマップで自宅の危険度も確認。
2
持ち出す薬をまとめる常用薬・お薬手帳を一つの袋に。数日分を切らさない。
3
連絡手段を決めるいつ・どちらから連絡するか、つながらないときの代わりも。

特に見落としやすいのが薬です。避難所には常用薬の用意はなく、持病のある高齢者にとって薬の中断は体調悪化に直結します。持ち出し袋には次のものをまとめておいてください。

✅ 高齢の親の持ち出し袋(薬まわりを最優先)

  • 常用薬(できれば数日分)とお薬手帳
  • 健康保険証・介護保険被保険者証(コピーでも可)
  • 眼鏡・補聴器・入れ歯とその洗浄用品
  • 連絡先を書いたメモ(家族・かかりつけ医・ケアマネジャー)
  • 携帯電話と充電器(モバイルバッテリー)

連絡手段は「台風が接近したら、夕方までに私から必ず電話する」のように、どちらがいつ連絡するかまで決めておくと、停電や電話の混雑で慌てずにすみます。夏場は避難の前後に体調を崩しやすいため、高齢の親の熱中症対策も同じ時期に見直しておくと安心です。

避難情報の運用や名簿制度の細部は自治体により異なります(2026年時点)。台風が本格化する前のいまのうちに、親が住む市区町村の窓口へ一度連絡し、名簿登録と避難先の確認を済ませておいてください。

よくある質問

避難行動要支援者名簿とは何ですか?どう登録しますか?

災害時に自力で避難するのが難しい高齢者や障害のある人などを、市区町村があらかじめ名簿にまとめておく制度です。平成25年の災害対策基本法改正で、名簿の作成が市町村の義務になりました。登録の方法や対象は自治体により異なるため、親が住む市区町村の防災担当または福祉担当に問い合わせてください。名簿に載ると、災害時に地域の支援者へ情報が共有され、避難の手助けにつながりやすくなります。

個別避難計画とは何ですか?

避難行動要支援者一人ひとりについて、誰が支援して、どこへ、どの経路で避難するかを事前に決めておく計画です。令和3年の災害対策基本法改正で、作成が市町村の努力義務とされました。作成には本人・家族のほか、ケアマネジャーや地域の支援者が関わります。親の分について、市区町村の窓口やケアマネジャーに相談すると進め方を教えてもらえます。

高齢の親はいつ避難させればいいですか?

警戒レベル3「高齢者等避難」が出た段階で避難を始めるのが原則です。避難に時間のかかる高齢者は、全員避難を求める警戒レベル4(避難指示)を待つと間に合わないおそれがあるためです。離れて暮らす場合は、テレビやスマホで親の地域の警戒レベルを確認し、レベル3の時点で電話をかけて避難を促してください。

離れて暮らす親が「まだ大丈夫」と避難を嫌がります。

高齢者は「これまで大丈夫だった」という感覚から避難をためらいがちです。危険を軽く見てしまう心理は誰にでも起こります。頭ごなしに急かすより、「近所の○○さんも避難所に行くって」「私が心配で眠れないから行ってほしい」と、本人が動きやすい理由を添えると効果的です。可能なら、事前に決めた避難先と持ち出し袋を親と一緒に確認しておくと、当日動きやすくなります。

参考・出典

本記事は公的機関等の公開情報をもとに作成した一般的な情報提供であり、医学的な診断・助言に代わるものではありません。 制度の内容はお住まいの自治体や時期によって異なる場合があります。最新の情報は各公式窓口でご確認ください。