介護費用は医療費控除の対象になる?おむつ代・施設サービスの範囲を解説
先に、要点だけ
- 介護保険の医療系サービス(訪問看護・通所リハビリ等)と施設サービスの自己負担は医療費控除の対象(国税庁)
- 施設は種類で扱いが違う。特養は自己負担の2分の1、老健・介護医療院は全額が対象
- おむつ代は医師の「おむつ使用証明書」があれば対象。2年目以降は主治医意見書の写し等で代替できる
- 申告では「医療費控除の明細書」を提出。領収書は提出不要だが5年間の保管が必要
親の介護にかかったお金のうち、どこまでが医療費控除で戻ってくるのか——。施設の請求書やおむつのレシートを前に、「これは対象なのかな」と迷う人は少なくありません。
結論から言うと、介護費用でも「医療系のサービス」「施設サービスの自己負担」「医師が認めたおむつ代」は医療費控除の対象になります(国税庁)。ただし施設の種類やサービスの組み合わせで扱いが変わります。この記事では、対象になるもの・ならないもの、おむつ代の証明書のルール、申告のやり方の入口までを整理します。
医療費控除の対象になる介護サービス
介護保険サービスは、大きく「医療系」と「福祉系」に分かれ、医療費控除の扱いも変わります。国税庁は、医療系サービスは単独で対象、福祉系サービスは医療系と併せて使う場合に対象、と整理しています。
🩺 単独で対象(医療系)
- 訪問看護
- 訪問リハビリテーション
- 居宅療養管理指導
- 通所リハビリテーション
- 短期入所療養介護
🤝 併用で対象(福祉系)
- 訪問介護(生活援助中心型を除く)
- 通所介護(デイサービス)
- 短期入所生活介護
- ※医療系サービスと同月のケアプランにある場合
福祉系サービスは、単独では医療費控除の対象になりません。一方で、訪問看護などの医療系サービスが同じ月のケアプランに位置づけられていれば、デイサービスや訪問介護(生活援助中心型を除く)の自己負担も対象に含められます(国税庁)。
⚠️ 対象外になるものもある
生活援助中心型の訪問介護、グループホーム(認知症対応型共同生活介護)、有料老人ホーム等の特定施設、福祉用具貸与は、医療費控除の対象外とされています。自分のケースで対象になるかは、領収書に「医療費控除の対象額」が記載されているか、ケアマネジャーに確認するのが確実です。
施設サービスは種類で扱いが違う
施設に入っている場合、施設の種類によって控除できる割合が変わります。ここは間違えやすいポイントです。
| 施設の種類 | 医療費控除の対象 |
|---|---|
| 特別養護老人ホーム(指定介護老人福祉施設) | 介護費・食費・居住費の自己負担の「2分の1」 |
| 介護老人保健施設(老健) | 介護費・食費・居住費の自己負担の「全額」 |
| 介護医療院 | 介護費・食費・居住費の自己負担の「全額」 |
いずれの施設でも、日常生活費や特別なサービス費用(理美容代・個室の差額など)は対象外です(国税庁)。施設が発行する領収書や年間の利用明細に「医療費控除の対象となる金額」が記載されていることが多いので、まずはその欄を確認してみてください。
おむつ代の医療費控除:証明書のルール
寝たきりなどでおむつが必要な場合、おむつの購入費用も医療費控除の対象になります。ただし、医師の証明が必要です。
2年目以降の簡略化は、令和6年分以後の確定申告(令和7年1月1日以後に提出するもの)で使えるようになった仕組みです(国税庁)。要介護認定を受けている人は、認定の際に作られる主治医意見書を活用できるため、毎年おむつ使用証明書を取り直す手間を減らせます。市町村によって「確認書」を発行する窓口や手順が異なるため、親が住む市区町村の担当課に確認してください。
申告のやり方の入口
医療費控除は年末調整では処理されず、自分で確定申告をして受けます。介護と医療の領収書を家族分まとめるところがスタートです。
✅ 申告前にそろえるもの
- 介護サービスの利用者負担額がわかる領収書・年間明細
- 病院・薬局の領収書、おむつのレシート(+おむつ使用証明書等)
- 「医療費控除の明細書」(領収書をもとに金額を集計して記入)
- 医療保険者から届く「医療費通知」(あると明細書の記載を簡略化できる)
確定申告では、領収書そのものの提出は原則不要で、代わりに「医療費控除の明細書」を提出します。ただし領収書は申告期限等から5年間、自宅で保管する必要があります(国税庁)。医療費通知を使うと、明細書の記載を簡略化でき、その分の領収書保存も不要になります。
医療費控除は、生計を一にする家族の分を合算して、収入のある人がまとめて申告できます。世帯の状況によっては介護のための世帯分離や高額介護サービス費など、ほかの負担軽減策と合わせて考えると効果的です。介護費用そのものの自己負担の仕組みは介護保険の自己負担割合もあわせて確認してみてください。
控除の対象範囲や証明手続きは改定されることがあります(2026年時点)。自分のケースで対象になるかの最終的な判断は、国税庁のタックスアンサーや、親が住む市区町村・所轄の税務署で確認してください。
よくある質問
介護費用はいくらから医療費控除の対象になりますか?
生計を一にする家族全員分の1年間の医療費(対象になる介護費用を含む)の合計が、原則10万円を超えた部分が控除対象です。その年の総所得金額等が200万円未満の人は、10万円ではなく総所得金額等の5%を超えた部分が対象になります。介護と医療の領収書を家族でまとめて合算するのがポイントです。
デイサービスやヘルパーの費用も医療費控除の対象ですか?
通所介護(デイサービス)や訪問介護(生活援助中心型を除く)などの福祉系サービスは、それ単独では対象外ですが、訪問看護など医療系サービスと同じ月のケアプランに位置づけられている場合は対象になります(国税庁)。ケアマネジャーが作るケアプランの内容によって変わるため、担当のケアマネジャーに確認すると確実です。
おむつ代の医療費控除に必要な書類は何ですか?
初めて控除を受ける年は、医師が発行する「おむつ使用証明書」が必要です。おむつを購入したレシート・領収書とあわせて保管します。2年目以降は、要介護認定の主治医意見書の内容を市町村が確認した書類、または主治医意見書の写しで代えられる簡略化が設けられています(令和6年分以後の申告)。
医療費控除の申告に領収書の提出は必要ですか?
確定申告では「医療費控除の明細書」を提出すればよく、領収書そのものの提出・提示は原則不要です。ただし領収書は申告期限等から5年間、自宅で保管する必要があります。税務署から求められたら提示できるようにしておいてください。