高額介護サービス費はいくら戻る?月の上限額と申請方法・対象外の費用まで解説
先に、要点だけ
- 1か月の介護保険の自己負担が上限額を超えた分は払い戻される。一般的な所得の世帯の上限は月44,400円(2026年時点)
- 申請は初回の1回だけ。以降は該当する月があれば、登録した口座に自動的に振り込まれる
- 対象は介護保険サービスの自己負担分のみ。食費・居住費・福祉用具購入費・住宅改修費・支給限度額の超過分は対象外
- 申請できるのは原則、サービスを利用した月の翌月1日から2年以内。過去の分もさかのぼって申請できる
この記事の目次
介護サービスの請求書を毎月ながめては、「この負担がずっと続くのか」とため息をつく——在宅でも施設でも、介護のお金の不安はここに集中します。ところが、その自己負担には最初から月の上限が決められていることを知らないまま払い続けている家族が少なくありません。
結論から言うと、1か月の介護保険の自己負担が上限額(一般的な所得の世帯で44,400円・2026年時点)を超えた分は、高額介護サービス費として払い戻されます(厚生労働省)。手続きは初回に1回申請するだけで、以降は自動で振り込まれます。この記事では、いくら戻るのか、どう申請するのか、何が対象外なのかを順に整理します。
高額介護サービス費とは?いくら戻る制度か
高額介護サービス費は、1か月に支払った介護保険サービスの利用者負担(1〜3割の自己負担分)の合計が所得に応じた上限額を超えたとき、超えた分が全額払い戻される制度です(厚生労働省)。
たとえば一般的な所得の世帯(上限44,400円)で、1か月の自己負担の合計が60,000円だった場合、差額の15,600円が戻ります。要介護度が高い人、自己負担割合が2割・3割の人ほど上限に届きやすく、戻る金額も大きくなります。
💡 世帯で合算できる
上限額との比較は、同一世帯内の要介護・要支援認定者全員の自己負担を合算して行います。夫婦それぞれがサービスを使っている場合、1人分では届かなくても世帯合算で対象になることがあります。
所得区分別の上限額一覧(2026年時点)
月の負担上限額は所得によって次のように分かれています(厚生労働省)。
| 所得区分 | 負担の上限額(月額) |
|---|---|
| 課税所得690万円(年収約1,160万円)以上 | 140,100円(世帯) |
| 課税所得380万円(年収約770万円)以上690万円未満 | 93,000円(世帯) |
| 市町村民税課税〜課税所得380万円未満 | 44,400円(世帯) |
| 世帯の全員が市町村民税非課税 | 24,600円(世帯) |
| うち前年の公的年金等収入+その他の合計所得金額の合計が80万円以下の方等 | 24,600円(世帯)・15,000円(個人) |
| 生活保護を受給している方等 | 15,000円(世帯) |
多くの家庭が該当するのは44,400円か24,600円の区分です。親が住民税非課税なら、月の自己負担はどれだけサービスを使っても実質24,600円(個人単位では15,000円になる場合も)までに収まる計算です。
対象になる費用・ならない費用
戻るのは「介護保険の自己負担分」だけです。ここの線引きを知らないと、思ったより戻らずに戸惑うことになります。
⭕ 対象になる
- 訪問介護・デイサービスなどの1〜3割の自己負担分
- ショートステイのサービス費の自己負担分
- 特別養護老人ホームなど施設サービス費の自己負担分
❌ 対象にならない
- 施設やショートステイの食費・居住費(滞在費)・日常生活費
- 福祉用具購入費・住宅改修費の自己負担分
- 支給限度額を超えて全額自己負担した分
施設入所で負担が重い場合、大きいのはたいてい食費・居住費です。こちらは高額介護サービス費ではなく、住民税非課税世帯などを対象にした負担限度額認定(特定入所者介護サービス費)という別制度で軽減します。施設費用の全体像は老人ホームの種類一覧もあわせて確認してみてください。
申請方法:手続きは初回の1回だけ
申請先は、親が住む市区町村の介護保険担当課です。流れはシンプルです。
ポイントは、初回に1回申請すれば以降は自動という点です(江東区ほか各自治体)。毎月書類を出し続ける必要はありません。
つまずきポイント:知らずに申請していない人が多い
制度の建前上は「該当すれば案内が届いて、申請すれば戻る」仕組みです。ところが現実には、戻るはずのお金を受け取っていないケースが起きがちです。
⚠️ 案内の見落としと2年の時効
市区町村からの申請案内は普通の封書で届くため、本人が「よく分からない書類」としてしまい込み、家族が気づかないことがあります。申請には原則2年の時効があり、過ぎた分は戻りません。親宛ての介護保険関係の郵便物は、家族が一度目を通す運用にしておくと取りこぼしを防げます。
逆に言えば、時効内なら過去の分もさかのぼって申請できます。介護を始めて数か月〜数年たっている家庭こそ、一度領収書を見直す価値があります。
上限額の区分や申請書類の細部は自治体により運用が異なります(2026年時点)。判断に迷ったら、市区町村の介護保険担当課か地域包括支援センターに電話で聞くのが早道です。担当のケアマネジャーがいる場合は、月の利用票を見ながら「高額介護サービス費の対象になっていないか」と聞くだけでも確認してもらえます。
よくある質問
高額介護サービス費はいつ、どうやって振り込まれますか?
初回に申請書と振込口座を市区町村に提出すると、以降は該当する月があるたびに自動的に計算され、登録口座へ振り込まれます。振込の時期はサービス利用月から数か月後になるのが一般的で、具体的なスケジュールは自治体により異なります。
夫婦2人とも介護サービスを使っている場合、合算できますか?
できます。高額介護サービス費は同一世帯内の要介護・要支援認定者の自己負担を合算して、世帯の上限額と比較します。1人ずつでは上限に届かなくても、世帯合算で対象になる場合があります。
施設の食費や部屋代が高いのですが、高額介護サービス費で戻りますか?
戻りません。食費・居住費は高額介護サービス費の対象外です。ただし住民税非課税世帯などの場合、食費・居住費そのものを軽減する「特定入所者介護サービス費(負担限度額認定)」という別の制度があります。市区町村の介護保険担当課に確認してみてください。
市区町村から申請の案内が届かない場合はどうすればいいですか?
案内の運用は自治体により異なり、届くまでの期間もさまざまです。上限額を超えている月がありそうなら、案内を待たずに市区町村の介護保険担当課へ電話で確認して大丈夫です。申請の時効は原則2年のため、早めの確認が安全です。
医療費も介護費も両方高い場合に使える制度はありますか?
あります。高額医療・高額介護合算療養費制度といい、同一世帯の1年間の医療保険と介護保険の自己負担合計が基準額を超えた場合に、超えた分が払い戻されます。月単位の高額介護サービス費とは別に、年単位で適用される仕組みです。