親の介護は何から始める?最初にやることがわかる90日ロードマップ
先に、要点だけ
- 最初にやることは、親が住む市区町村の地域包括支援センターの連絡先を調べて電話1本かけること。相談は無料
- 要介護認定は申請から結果通知まで原則30日以内。90日でサービス開始まで進むには、第1か月のうちに申請するのが目安
- 介護保険被保険者証の保管場所・かかりつけ医・気になる変化のメモは第1週のうちに押さえる
- 仕事は辞めない前提で動く。介護休業は対象家族1人につき通算93日まで(3回まで分割可)。まず勤務先の制度を確認する
この記事の目次
退院したら一人で歩けなくなっていた、帰省したら冷蔵庫に同じものが並んでいた——。親の変化に気づいて「介護が始まるかもしれない」と感じたとき、最初の壁は、何から手を付ければいいのか誰も教えてくれないことです。
結論から言うと、最初にやることは、親が住む市区町村の地域包括支援センターを調べて、電話で相談することです。そこを起点に、要介護認定の申請、ケアプラン作成、サービス開始までは、およそ90日を目安に進められます。この記事では、第1週・第1か月・90日の3段階に分けて、やることを時系列で整理します。
親の介護は何から始める?90日の全体像
介護保険サービスは「相談→申請→認定→ケアプラン→開始」の順で進みます(厚生労働省)。まず全体の流れを頭に入れると、いま自分がどこにいるか迷わなくなります。
90日はあくまで目安です。認定結果の通知が30日を超える自治体もあるため、「思ったより時間がかかる」前提で早めに動くほど余裕が生まれます。
第1週にやること:親の状況をメモにして、相談先を押さえる
第1週のゴールは、手続きを始めることではなく、相談に必要な材料を手元にそろえることです。次の5つを確認してみてください。
✅ 第1週のチェックリスト
- 気になる変化を日付つきでメモする(転んだ回数、もの忘れの具体例、食事や入浴の様子)
- 介護保険被保険者証の保管場所を確認する(65歳の誕生月に市区町村から郵送されている)
- かかりつけ医と通院状況・飲んでいる薬を把握する
- 親の住む市区町村の地域包括支援センターの連絡先を調べる
- きょうだい・家族と現状を共有し、主担当と連絡手段を決める
このメモは後で効いてきます。要介護認定の調査では日頃の様子を具体的に伝える必要があり、日付と頻度が入った記録がそのまま材料になるからです。
💡 遠距離でも第1週は完結できる
ここまでのタスクは電話とインターネットだけで進められます。離れて暮らしていても、窓口が親の住む市区町村であることさえ押さえれば、初動に遅れはとれません。
第1か月にやること:地域包括支援センターに相談し、要介護認定を申請する
第1か月の中心は電話1本です。地域包括支援センターは市区町村が設置する高齢者の総合相談窓口で、相談は無料。「何から始めればいいか分からない」という段階の相談こそ歓迎されます。電話で何と言えばいいかは、地域包括支援センターへの電話のかけ方で最初のセリフ例まで紹介しています。
相談の結果、介護保険サービスが必要そうなら、要介護認定を申請します。申請先は親が住民票を置く市区町村の介護保険窓口で、家族による申請も、地域包括支援センターによる代行も可能です。手続きの詳細は要介護認定の申請方法と流れにまとめています。
ここで多くの家族がつまずくポイントがあります。
⚠️ 親の「まだ大丈夫」で申請が止まる問題
本人が「介護なんて要らない」と拒み、申請が数か月遅れるケースは珍しくありません。本人の同意を待ってから動くのではなく、まず家族だけで地域包括支援センターに相談してみてください。本人への切り出し方や、拒否感が強い場合の進め方も一緒に考えてもらえます。
90日までにやること:認定結果を受けてケアプラン、そしてサービス開始
認定結果は申請から原則30日以内に通知され、結果の区分によって次に相談する相手が変わります。
| 認定結果 | 次にやること |
|---|---|
| 要介護1〜5 | 居宅介護支援事業者を選び、ケアマネジャーとケアプランを作成 |
| 要支援1・2 | 地域包括支援センターで介護予防ケアプランを作成 |
| 非該当(自立) | 自治体の一般介護予防事業などをセンターに相談 |
ケアプラン作成に自己負担はありません。サービス利用時の自己負担は原則1割(所得により2〜3割・2026年時点)です。ケアマネジャーは長い付き合いになる相手なので、選び方はケアマネジャーの探し方を参考にしてみてください。
並行してやること:仕事は辞めない前提で両立の準備をする
90日の間に必ずやっておきたいのが、勤務先の両立支援制度の確認です。育児・介護休業法により、**介護休業は対象家族1人につき通算93日まで(3回まで分割可)**取得でき、雇用保険から介護休業給付金が支給される場合があります。ほかに年5日(対象家族2人以上なら年10日)の介護休暇もあり、時間単位で取れます(2026年時点・厚生労働省)。
93日という日数は「自分が介護をしきる期間」ではなく、認定申請やサービス調整など介護の体制を整えるための期間と位置づけられています。上司や人事には「親の介護の体制づくりで、今後手続きのための休みを取る可能性がある」と早めに一言伝えておくと、その後が動きやすくなります。
手続きの名称や窓口、認定にかかる日数は自治体により異なります(2026年時点)。実際の進め方は、親の住む市区町村の地域包括支援センターで確認してください。そもそも今が動くべきタイミングか迷っている場合は、介護のはじめどきチェックで状況を整理するところから始めても大丈夫です。
よくある質問
親の介護はまず誰に相談すればいいですか?
親が住む市区町村の地域包括支援センターが最初の相談先です。保健師・社会福祉士・主任ケアマネジャーなどの専門職が、介護保険の手続きから生活の心配ごとまで無料で相談に乗ってくれます。家族だけでの相談も可能です。
離れて暮らしていても、親の介護の手続きはできますか?
できます。窓口は自分の住所地ではなく、親が住民票を置く市区町村です。地域包括支援センターへの相談は電話でもでき、要介護認定の申請は家族による申請やセンターの代行が認められています。帰省のタイミングに認定調査の立ち会いを合わせる方法もあります。
親が元気なうちにやっておくことはありますか?
介護保険被保険者証の保管場所、かかりつけ医、飲んでいる薬、お金の管理方法を親と共有しておくと、いざというとき手続きが止まりません。あわせて、親の住む地域の地域包括支援センターの連絡先を調べておくだけでも、初動が数週間変わります。
介護のために仕事を辞めるべきですか?
辞める前に両立支援制度の確認をおすすめします。育児・介護休業法により、介護休業(通算93日・3回まで分割可)や介護休暇(年5日、対象家族2人以上なら年10日)が定められており、雇用保険から介護休業給付金が出る場合もあります。収入と再就職の面でリスクが大きいため、離職は最後の選択肢と考えられています。