杖をついて歩く高齢男性の後ろ姿。福祉用具で歩行を支える

福祉用具はレンタルと購入どっち?介護ベッド・手すりの選び方と費用

公開: 2026年7月7日 読了目安 約5分

先に、要点だけ

  • レンタルか購入かは品目で決まる。車いす・介護ベッド・手すり・スロープ・歩行器などはレンタル(貸与)の13品目、入浴・排泄に使う腰掛便座・入浴補助用具などは購入(特定福祉用具販売)の9品目
  • 購入は同一年度(4月〜翌3月)で10万円まで。1割負担の人なら9万円が介護保険から支給される
  • 車いす・特殊寝台(介護ベッド)などは、要支援1・2と要介護1の人は原則レンタルの保険給付対象外。ただし状態により市区町村が認めれば例外的に使える
  • 工事で壁に固定する手すりは福祉用具ではなく住宅改修(生涯20万円まで)。品目の選定はケアマネジャーと福祉用具専門相談員に相談する
この記事の目次
  1. 福祉用具はレンタルと購入に分かれている
  2. 購入は「年間10万円まで」の枠がある
  3. 要介護度によってはレンタルできない品目がある
  4. 品目選びはケアマネと福祉用具専門相談員に頼む
  5. 「手すりの取り付け工事」は住宅改修という別の枠

親の歩行が不安定になってきた、ベッドから起き上がりにくそう——。そんなとき頼りになるのが福祉用具ですが、いざ調べると「レンタルと購入、どっちがいいの?」で手が止まります。実は、この選択は自分で選ぶものではありません。

結論から言うと、レンタルか購入かは品目ごとに決まっています。車いすや介護ベッド、手すり、歩行器などはレンタル(貸与)、入浴や排泄に使う腰掛便座や入浴補助用具などは購入(特定福祉用具販売)です(厚生労働省)。この記事では、レンタルと購入の分かれ方、要介護度による使える・使えないの線引き、そして住宅改修(手すりの取り付け工事)との違いまでを整理します。

福祉用具はレンタルと購入に分かれている

介護保険の福祉用具は、繰り返し使えるものは「レンタル(貸与)」、人が使ったものを再利用しにくいものは「購入(特定福祉用具販売)」と、性質で分けられています。

🔄 レンタル(福祉用具貸与・13品目)

  • 車いす/特殊寝台(介護ベッド)
  • 手すり(工事不要のもの)/スロープ
  • 歩行器/歩行補助つえ
  • 床ずれ防止用具/体位変換器 など

🛒 購入(特定福祉用具販売・9品目)

  • 腰掛便座(ポータブルトイレ等)
  • 入浴補助用具(シャワーいす等)
  • 簡易浴槽
  • 自動排泄処理装置の交換可能部品 など

肌に触れたり排泄・入浴に使ったりするものは購入、それ以外の繰り返し使える大型のものはレンタル、と大まかに覚えておくと分かりやすくなります。

購入は「年間10万円まで」の枠がある

購入(特定福祉用具販売)には支給限度額があります。購入費の枠は、同一年度(4月1日〜翌年3月31日)で10万円までです。1割負担の人なら、10万円分の購入で9万円が介護保険から支給されます。年度が変わればまた10万円の枠が使えるので、同じ年度内に複数の用具を買うときは合計が10万円を超えないように計画してください(厚生労働省)。

一方、レンタルには「年間いくらまで」という購入枠はなく、月々のレンタル料の1〜3割を負担します。福祉用具は要介護度ごとの支給限度額(区分支給限度基準額)の中で他のサービスと合わせて使う形になります。負担割合の考え方は介護保険の自己負担割合(1割・2割・3割)で確認できます。

要介護度によってはレンタルできない品目がある

ここが多くの家族がつまずくポイントです。「介護ベッドを借りたい」と思っても、要介護度によっては原則レンタルできない品目があります。

⚠️ 軽度者は介護ベッド・車いすが原則レンタル対象外

車いす・特殊寝台(介護ベッド)・床ずれ防止用具・体位変換器・認知症老人徘徊感知機器・移動用リフトは、要支援1・2と要介護1の人(軽度者)は原則として保険給付の対象になりません。「要介護認定は下りたのに介護ベッドが借りられない」と驚く家族が少なくありません。

要介護度ごとの原則は次のとおりです。

品目原則レンタルできる要介護度
車いす・特殊寝台(介護ベッド)・床ずれ防止用具・体位変換器・認知症老人徘徊感知機器・移動用リフト要介護2〜5
手すり・スロープ・歩行器・歩行補助つえ要支援1〜要介護5(制限なし)
自動排泄処理装置(本体)要介護4・5

ただし、これはあくまで「原則」です。

💡 状態によっては例外的に借りられる

軽度者でも、日常的に起き上がりや寝返りが困難といった状態が認定調査の結果などで確認できる場合は、市区町村の判断で例外的にレンタルが認められることがあります(例外給付)。あきらめる前に、担当のケアマネジャーに「例外給付が使えないか」を相談してみてください。

要支援と要介護で使えるサービスが変わる仕組みは要支援と要介護の違いもあわせて読むと理解しやすくなります。

品目選びはケアマネと福祉用具専門相談員に頼む

福祉用具は種類が多く、同じ「手すり」でも自宅のどこにどう置くかで選ぶものが変わります。ここは専門職に頼るのがいちばんの近道です。

✅ 相談するときに伝えるとよいこと

  • 困っている動作(起き上がり・歩行・トイレ・入浴など)
  • 自宅の状況(段差の場所、廊下の幅、トイレや浴室の広さ)
  • 本人の体格や、力の入りにくい側があるか
  • 使う人が本人だけか、介護する家族も使うか

まず担当のケアマネジャーに相談すると、福祉用具専門相談員につないでくれます。福祉用具専門相談員は自宅を訪問して状況を見て、合う品目を提案し、レンタルか購入か・要介護度で使えるかまで確認してくれます。担当のケアマネジャーがまだいない場合はケアマネジャーの探し方を参考に、地域包括支援センターへ相談してください。

「手すりの取り付け工事」は住宅改修という別の枠

最後に混同しやすいポイントを整理します。同じ手すりでも、扱いが2つに分かれます。

福祉用具(レンタル)住宅改修
対象床に置く工事のいらない手すり壁や柱に固定する手すりの取り付け工事
費用の枠月々のレンタル料の1〜3割生涯20万円まで(1〜3割負担)
主な例置き型手すり、段差解消のスロープ手すりの取り付け、段差の解消、床材の変更

住宅改修は、手すりの取り付けや段差の解消などの工事に対して、生涯20万円まで(原則9割が戻る償還払い)の枠が使えます(厚生労働省)。福祉用具のレンタル・購入とは別の枠なので、両方を組み合わせて使えます。退院に合わせて自宅の環境を整えたい場合は、退院後の介護の準備も参考にしてください。

制度の運用や対象品目の細部は自治体により異なります(2026年時点)。実際の手配は、担当のケアマネジャーや福祉用具専門相談員、親の住む市区町村の地域包括支援センターに確認してください。何から相談すればいいか迷う場合は、介護のはじめどきチェックで状況を整理するところから始めてみてください。

よくある質問

福祉用具はレンタルと購入、どちらが得ですか?

得かどうかではなく、品目ごとにレンタルか購入かが法律で決まっています。車いすや介護ベッドなど繰り返し使えるものはレンタル、腰掛便座や入浴補助用具など人が使ったものを再利用しにくいものは購入です。どちらにするか選べるわけではないため、まずはその品目がどちらに当たるかを福祉用具専門相談員に確認してください。

要介護1でも介護ベッドはレンタルできますか?

介護ベッド(特殊寝台)や車いすは、要支援1・2と要介護1の人は原則としてレンタルの保険給付対象外です。ただし、日常的に起き上がりや寝返りが困難といった状態が認定調査などで確認できる場合は、市区町村の判断で例外的に給付が認められることがあります。担当のケアマネジャーに相談すると、例外給付が使えるか確認してもらえます。

特定福祉用具販売の10万円は毎年リセットされますか?

購入費の支給限度額は同一年度(4月1日〜翌年3月31日)で10万円までで、年度が変わればまた10万円の枠が使えます。1割負担の人なら、10万円分の購入で9万円が介護保険から支給されます。同じ年度内に複数の用具を買う場合は、合計が10万円を超えないように計画してください。

手すりはレンタルと工事のどちらになりますか?

床に置くだけの工事のいらない手すりは福祉用具のレンタルです。一方、壁や柱にネジで固定する手すりの取り付け工事は「住宅改修」に当たり、生涯20万円までの別の枠を使います。同じ手すりでも扱いが変わるため、どちらが向いているかを福祉用具専門相談員やケアマネジャーに相談してください。

参考・出典

本記事は公的機関等の公開情報をもとに作成した一般的な情報提供であり、医学的な診断・助言に代わるものではありません。 制度の内容はお住まいの自治体や時期によって異なる場合があります。最新の情報は各公式窓口でご確認ください。