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親の介護でお金がない時にまず動く制度|親のお金で介護する原則と負担軽減

公開: 2026年6月2日 読了目安 約6分

先に、要点だけ

  • 大原則は「親の介護は親のお金(年金・預貯金)でまかなう」。子が自分の生活費や老後資金を削って抱え込まない
  • 一般的な所得区分なら、高額介護サービス費で介護サービスの自己負担は世帯で月44,400円が上限。超えた分は申請で戻る(2026年時点)
  • 低所得なら負担限度額認定で施設・ショートステイの食費・居住費が下がる。世帯分離で負担段階が変わる場合もある
  • どうしても足りない時は市区町村社会福祉協議会の生活福祉資金貸付、最後の支えは福祉事務所の生活保護。相談は無料
  • 最初の一歩は、親の年金額と預貯金を把握して地域包括支援センターに「お金の不安」を相談すること
この記事の目次
  1. まず確認:親の介護は「親のお金」でまかなうのが原則
  2. 負担を下げる制度を総動員する
  3. 世帯分離という選択肢と、その注意点
  4. それでも足りない時:貸付と生活保護の入口
  5. どこに相談すればいい?迷ったら地域包括支援センター

親の入院や介護が急に始まり、費用の見積もりを見て青ざめる——。毎月これが続くのかと思うと、自分の家計まで潰れそうで眠れない。介護のお金の不安は、はじまり期にいちばん重くのしかかります。

でも、そこで自分の給料や老後資金を取り崩す前に、知っておいてほしいことがあります。親の介護費用は「親のお金(年金・預貯金)でまかなう」のが大原則です。そのうえで、負担を下げる公的な制度がいくつも用意されています。この記事では、子が抱え込まずに使える制度を「動く順番」で整理します。

まず確認:親の介護は「親のお金」でまかなうのが原則

介護費用を考える出発点は、子の財布ではなく親の年金と預貯金です。まずここを把握しないと、必要以上に子が肩代わりしてしまいます。

💡 なぜ「親のお金から」なのか

介護は数年〜十数年続くことがあります。子が自分の生活費や老後資金を削って支え続けると、共倒れになりかねません。子自身の生活を守ることは、長い介護を続けるための土台です。まず親の資産で組み立て、足りない分を制度で補う——この順番が安全です。

最初にやるのは、親の「お金の見取り図」を作ることです。次の項目を一枚にまとめておくと、制度の相談も申請もぐっと早くなります。

✅ 最初に把握する親のお金

  • 年金の額(年金振込通知書、または通帳の2か月ごとの入金額)
  • 預貯金の残高(複数口座があれば合算)
  • 加入している医療保険・介護保険の負担割合(1〜3割)
  • 生命保険・医療保険の証券(入院給付金などが出る場合がある)
  • 持ち家・不動産の有無

親にお金の話を切り出しにくい時は、「もし入院や介護になった時に困らないように、いざという時のお金の場所だけ教えて」と、いざという時の備えとして聞くと角が立ちにくくなります。

負担を下げる制度を総動員する

親のお金を把握したら、次は自己負担そのものを下げる制度です。「払ってから戻る」ものと「最初から下がる」ものがあります。当てはまるものは遠慮なく使ってください。

1
高額介護サービス費1か月の介護サービス自己負担が上限を超えたら、超えた分が申請で戻る。
2
負担限度額認定低所得なら施設・ショートステイの食費・居住費が下がる。
3
世帯分離の検討住民票の世帯を分けることで負担段階が変わる場合がある。
4
自治体独自の助成紙おむつ助成や介護用品支給など、市区町村ごとの制度を確認。

高額介護サービス費は、1か月の介護サービス自己負担が所得区分ごとの上限を超えると、超えた分が払い戻される制度です。一般的な所得区分では世帯で月44,400円が上限(2026年時点・厚生労働省)で、住民税非課税など低所得の区分ではさらに上限が下がります。詳しくは高額介護サービス費の記事で解説しています。

低所得の場合は負担限度額認定で、特別養護老人ホームなどの施設やショートステイの食費・居住費が下がります。医療費と介護費が同じ年に重なった世帯は、高額医療・高額介護合算療養費という制度で戻ることもあります。

自治体独自の助成も見落とせません。紙おむつの現物支給や購入費助成、介護用品券など、市区町村ごとに独自メニューがあります。「(市区町村名) 介護 助成」で検索するか、地域包括支援センターに一覧をもらってください。

世帯分離という選択肢と、その注意点

世帯分離は、同居のまま住民票上の世帯を親と子で分ける手続きです。親の世帯が住民税非課税になれば、高額介護サービス費や負担限度額認定の負担段階が下がる場合があります。

ただし、いいことばかりではありません。

⚠️ 世帯分離は「必ず得」ではない

子の扶養(税・健康保険)から親が外れると、かえって負担が増えるケースもあります。国民健康保険料が世帯ごとにかかる、扶養控除が使えなくなる、といった逆効果もあり得ます。損得は世帯の状況しだいなので、思いつきで届け出ず、先に市区町村の窓口で試算してもらってください。

判断材料がそろわないうちに手続きすると後悔しがちなポイントです。世帯分離の記事で、向くケース・向かないケースを整理しています。

それでも足りない時:貸付と生活保護の入口

軽減制度を使ってもお金が回らない——。そこまで来たら、次の支えを「使っていい」と考えてください。恥ずかしいことでも、親や子の失敗でもありません。

制度どんな時に窓口
生活福祉資金貸付一時的に生活資金が不足している低所得・高齢者世帯市区町村の社会福祉協議会
生活保護資産・年金・あらゆる手段を使ってもなお生活が成り立たないお住まいの地域の福祉事務所

生活福祉資金貸付は、都道府県社会福祉協議会が実施し、相談は市区町村の社会福祉協議会が受け付ける公的な貸付です(厚生労働省)。低所得世帯や65歳以上の高齢者のいる世帯などが対象で、生活の立て直しに使えます。

生活保護は、資産や能力その他あらゆるものを活用してもなお最低限度の生活を維持できない場合に、その不足分を補う制度です(厚生労働省)。相談・申請の窓口は、お住まいの地域を所管する福祉事務所の生活保護担当です。「まだ預貯金が少し残っているから対象外だろう」と自己判断で諦めず、まずは相談して構いません。

💡 子が「抱え込まない」線引き

民法上の扶養義務は、自分の生活を著しく壊してまで仕送りを強制するものではありません。子ができる範囲で支えることと、公的制度に頼ることは両立します。まず親の資産と制度で組み立て、足りない分だけを無理のない範囲で——この線引きが、介護を長く続けるコツです。

どこに相談すればいい?迷ったら地域包括支援センター

制度が多くて、自分の親がどれに当てはまるか分からない——。そんな時の入口が、親が住む地域の地域包括支援センターです。介護の相談窓口ですが、お金の不安もまとめて相談できます。

「親の介護でお金が心配。使える軽減制度を知りたい」と伝えれば、高額介護サービス費や負担限度額認定、自治体の助成、必要なら社会福祉協議会や福祉事務所まで、順番に案内してもらえます。相談は無料です。まだ介護保険の申請前で迷っている段階なら、地域包括支援センターへの電話のかけ方から始めてください。

金額や助成の内容は自治体により異なり、制度も改定されます(2026年時点)。最新の適用は、親の住む市区町村の窓口で確認してください。

よくある質問

親の介護費用は子どもが負担しなければいけませんか?

法律上、まず本人(親)の資産と収入で負担するのが原則です。民法上の扶養義務はありますが、それは自分の生活を著しく壊してまで仕送りを強制されるものではありません。子が自分の生活費や老後資金を削る前に、親の年金・預貯金の把握と公的な軽減制度の活用を先に行うのが安全です。

介護サービスの自己負担が高すぎます。戻ってくる制度はありますか?

高額介護サービス費があります。1か月の介護サービス自己負担が所得区分ごとの上限を超えると、超えた分が申請により払い戻されます。一般的な所得区分では世帯で月44,400円が上限です(2026年時点)。初回に市区町村から申請書が届くことが多く、一度手続きすれば以降は自動振込になる自治体もあります。

施設の食費や部屋代が払えません。安くする方法はありますか?

住民税非課税世帯など低所得の方は、負担限度額認定を受けると特別養護老人ホームなどの施設やショートステイの食費・居住費が下がります。ただし有料老人ホームは対象外です。預貯金などの資産要件があり、配偶者の課税状況も判定されます。詳しくは負担限度額認定の記事で解説しています。

貯金も年金も足りません。生活保護しかないのでしょうか?

いきなり生活保護と考える前に、市区町村社会福祉協議会の生活福祉資金貸付など段階的な支えがあります。それでも生活が成り立たない場合の最低限度の生活を保障するのが生活保護で、これは国民の権利です。介護費用だけでなく生活全体が苦しい時は、福祉事務所に相談して構いません。

参考・出典

本記事は公的機関等の公開情報をもとに作成した一般的な情報提供であり、医学的な診断・助言に代わるものではありません。 制度の内容はお住まいの自治体や時期によって異なる場合があります。最新の情報は各公式窓口でご確認ください。